「香水―ある人殺しの物語」/パトリック・ジュースキント 文藝春秋近頃話題になった映画、パヒュームの原作です。
実はこの本、20年も前に出版され話題になってたらしいです。
映画の存在を知るまでは作者の名前もこんなに奇抜なストーリーさえ耳にしたことがなかった。。すんごく惜しいことをしてました。
タイトルにあるようにストーリーは全て香りから始まり、香りで終わります。
尋常ではない嗅覚を持ってフランスに生れ落ちた主人公グルヌイユは嗅覚だけではなく、風変わりな悩みも持ち合わせていた。周りの人間には彼が毛嫌いする臭いである体臭を与えられているのに、彼自身にはそんな当たり前のものが与えられなかったのだった。
匂いに取り付かれながらも先天的な臭いを纏うことのできないグルヌイユは、そんな悩みを抱きながらも香水調合師として頭角を現し、やがて彼の究極の願いを封じ込めた香水を作り出そうと少女たちに手をかけ始める。。。
舞台は18世紀のフランス、それでもって古典的な書き方で話が進むので、ほの暗い、退廃的な雰囲気が全体に流れています。
あくまでもグルヌイユは異端の権化であり、そんな人間が作った香水に貴族たちが翻弄されていく姿がどことなく滑稽。 グルヌイユに関わった人間が全員変死してしまうというところも面白い。
ストーリーがスムーズに進んでいくので読みやすいし、簡潔な描写がかえって奇怪さを盛り立てています。重苦しくない文体もなかなか良い。
こういう雰囲気の作品が好きな方にはお勧めです。
ただひとつ注意が……。
ラストシーンは結構エグいです。グルヌイユに終止符を打つシーンにはもってこいなのですが、読後感に不快を感じるかも知れません。。
人間に隠された深い闇を抉る、ような作品。